募集株式の発行とは会社が発行する新株の引受人を募集して、引受人に割り当てることです。

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募集株式の発行とは

株式会社が資本金を増やすことは、一般に「増資」と呼ばれています。
ですが、これは正確に言うと資本金を増やすために行う新株の発行ということであり、これを募集株式の発行と言います。

 

では、この募集株式の発行とは具体的には一体どのようなものなのでしょうか?

 

 

新株を株主に割り当てる

上記の通り、募集株式の発行とは、会社が資金調達のために行う新株の発行のを指します。
そして、新たに発行された株式は株主割当または第三者割当という形で株主に割り当てられます。

 

株主割当とは、既存の株主に対して持株数に応じて新株の割り当てを受ける権利を与えることを言います。この場合、割り当ての対象となるのは全ての株主です。

 

一方、第三者割当では、株主割当以外の方法で特定の第三者に新株を割り当てることになります。

 

 

募集事項を決める

募集株式を発行する際には、いくつか決めておかなければならないことがあります。
それが募集事項です。

 

募集事項には以下の5つがあります。
  1. 募集株式の数
  2. 募集株式の払込金額
  3. 金銭以外の財産を出資の目的とする場合(現物出資)には、その旨及び当該財産の価額及び内容
  4. 金銭の払込み又は現物出資の給付の期日及び期間
  5. 新株を発行する場合には、増加する資本金及び資本準備金に関する事項

 

尚、募集株式の発行によって調達した資金については、その全額を資本金に組み込まなければならないというわけではありません。
調達した資金の半分を資本準備金とし、残りの2分の1だけを資本金に回すということも可能なのです。

 

登記の際に必要になる登録免許税は増加した資本金の額を根拠に算出されますから、資本金に繰り入れる額を抑えておけば、それだけ登録免許税の額も小さくなるのです。
もっとも、増加した資金を2分の1以上資本金の額から外すということはできませんので、その点には注意しておく必要があります。

 

資本金イメージ

 

 

募集事項の決定機関

上記の募集事項を決定するためには各社の決定機関において判断を行う必要があります。
この決定機関は、未公開会社であるか、それとも公開会社あるかで違いが出てきます。

 

未公開会社(株式譲渡制限規定を持つ会社)

原則として未公開会社では、株主総会において募集事項を決議することになります。
もっとも、取締役会への授権を定款によって決定している会社は取締役会で決定を行うことになります。
また株式割当の場合は、募集事項とは別に株主割当てを行う旨と募集株式の引受の申込期日についても決めておく必要があります。

 

 

公開会社(株式の譲渡制限規定がない会社)

公開会社の場合には、取締役会において募集事項の決定を行います。
また株式割当の場合は未公開会社の場合と同様に、募集事項とは別に株主割当てを行う旨と募集株式の引受の申込期日についても決めておく必要があります。

 

一方第三者割当の場合には、募集事項の払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、原則として株主総会において決議を行わなければなりません。

 

 

変更登記の申請

募集株式の発行を行った場合には、必ず変更登記を行わなければなりません。
この期間は払込期日又は払込期間の末日から2週間以内となっています。
期間を過ぎても登記申請自体は可能ですが、その場合は過料処分となってしまう可能性があります。