黒字倒産が起こるのは損益計算書上の記録と実際のお金の動きが違うからです。

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黒字倒産とは?

ニュースなどを見ていると、「黒字倒産」という言葉を耳にすることがあります。
おそらく、その内容を知らない方がこの言葉を聞くと、「何で黒字なのに倒産するの?」と疑問に思われるはずです。

 

ところが実際には、黒字であるにもかかわらず倒産する企業が多く存在するのです。
さてそれでは、この黒字倒産とは一体何なのでしょうか。

 

 

黒字倒産とはどのような状態なのか

倒産イメージ

まず倒産というのは、会社が債務を履行できず、尚且つ借り入れを行うこともできずに経営を継続することが不可能になることを言います。
つまり、その会社が赤字であれ黒字であれ返済に充てる資金がなくなれば倒産してしまうのです。

 

そして黒字倒産とは、会社が利益を出している(黒字である)にもかかわらず倒産してしまうことを言います。
尚、黒字倒産という場合の「黒字」とは、損益計算書上における黒字のことを言います。

 

損益計算書においては、利益の計算を事業年度(基本的に4月~翌年3月)の売上から経費を差し引くという形で行います。
この計算を行うことで、1事業年度で会社が儲かったのか、それとも損をしたのかを知ることができます。

 

そしてこの計算において儲かっていれば、それを黒字というわけです。

 

 

何故黒字倒産が起こるのか

さて、それでは何故黒字倒産が起こるのでしょうか。
これは一言で言えば、損益計算書上の記録と実際のお金の動きの違いが原因、ということになります。

 

通常、商品を売買する際の決済というのは1ヶ月から3ヶ月後に行われます。
しかし、損益計算書上では決済が行われる前に利益が計上されます。
つまり、会計上の記録と実際の現金の入金までにタイムラグが発生してしまうのです。

 

このタイムラグの間に出金をする必要が無ければ特に問題はありません。
しかし経費の支払いなどで出金が必要になった場合には、資金繰りが困難になってしまいます。
そこで、出金の額が自己資金で対応できる範囲であれば、会社が倒産することはありません。
また、仮に自己資金が足りなくても銀行からの借り入れを受けられれば、この場合も倒産を避けられます。

 

しかし、この両方が不可能であった場合には出金が行えなくなり、倒産という事態になってしまうのです。

 

尚、実際にはこうした事態になった後で銀行取引の停止処分を受け、裁判所に破産手続きの申請などを行った上で倒産が確定することになります。

 

 

黒字倒産に近い会社の傾向

会社が黒字倒産に近付くと、それまでには無かったような傾向が現れてきます。

 

以下がその代表的な例です。

 

営業会議が増える

黒字倒産に近い会社というのは概して手元資金が不足しています。
そしてそれを改善するために経営者が考えがちなのが売上を上げるという方法です。
そのためには当然営業成績を上げる必要があるため、営業会議が増えていくのです。
しかしそのような会社では、単に「売上を増やせ」というような中身のない会議に終わることがしばしばです。

 

 

売掛金の回収が支払期日を前倒しして行われる

資金繰りで苦しんでいる会社は、少しでも早く手元の資金を増やそうとします。
売掛金というのは通常、支払期日が設けられているわけですが、こうした会社は期日まで待っている余裕がないため、これを前倒しして回収しようとするのです。

 

 

少人数私募債を頻繁に発行する

会社には、無担保で発行することが可能な社債があります。それがこの少人数私募債です。
この社債は金融機関を通すことなく発行できるため、中小企業にとっては使い勝手の良い資金調達手段となっています。
しかし、資金繰りに苦労している会社の中には、経営状態が改善する見通しがないにもかかわらず、急場しのぎのために頻繁にこの債券を発行しているケースがあります。